NEWS

日本通訳翻訳学会関西支部第52回例会のお知らせ

日本通訳翻訳学会関西支部第52回例会
【日時】 2019年12月21日(土)15:00~17:30
【場所】 関西大学千里山キャンパス 岩崎記念館3F CALL2教室
アクセスマップ:https://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access_senri.html
キャンパスマップ:https://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/mapsenri.html
発表1:
【タイトル】通訳訓練のシャドーイングができるカギは音声変化にある 
【発表者】胡 海(関西大学外国語研究科M2)
【要旨】シャドーイングは、通訳訓練法としてよく知られている。複数の先行研究により、シャドーイングの練習はリスニング能力が向上し、更にスピーキング能力にも相関関係があるとされている。しかし、シャドーイングの練習を実行するためには、どんな能力を備え付けなければならないかという問題意識を持つようになった。
長文や段落レベルのシャドーイングができるためには、まずフレーズや単文レベルのシャドーイングができなければならない。そこに必要なのは、語句のプロソディー分析能力と発音能力である。個々の単語の発音はほぼできる(単語リストや辞書に国際音標(IPA)が載っている)が、文になった場合は前後の関係で英語特有の音声変化が起きるということを殆どの学習者が知らない。仮に多少は知っているとしても普段そのように読み話す習慣が身についていなければ、「知っている」と「出来る」とは本質的に違うので、Native speakerの発話が聞き取れなかったり、Native speakerのように話せないのは当然のことであろう。基本的な音声原則を無視した音読は自己流になってしまい、練習するほど自分の欠点や弱点が固定化するという結果になりかねない。本発表では音声変化に焦点を当てたシャドーイングの練習を提言したいと思う。また、具体的にシャドーイングの教材作成をもってこれを論証する。
発表2:
【タイトル】日英文芸翻訳から探る日本語否定表現の語用論的特性:『TUGUMI』の場合
【発表者】平野 牧子(大阪女学院大学)
【要旨】本研究では、吉本ばなな著『TUGUMI』とその英訳Goodbye Tsugumi(Michael Emmerich訳)を対照比較し、日本語否定表現による対人配慮の社会文化的背景を考察したのち、対人配慮としての日本語否定表現がどのように英訳され得るのかを検証する。
 否定は日本語談話でも日常的に用いられているが、否定表現の理解には、参与者が談話の前提を共有していることが必要であり、曖昧性をともなう否定表現は、情報伝達の効率を優先すれば、避ける方が望ましいのである。
このような否定をあえて用いる動機のひとつに、対人配慮が挙げられる(Leech 1983、ブラウン&レヴィンソン 2011)。対人配慮を示す場合、その形式が相手の価値観に合っていることが必要であるが、価値観にもとづく配慮の示し方は異言語・異文化間で異なり得る。日本語では否定表現で対人配慮を示すコンテクストでも、他言語・他文化では異なる言語形式を用いるかもしれない。
 分析の結果、否定辞「ない」を含む否定文が肯定文で英訳される、あるいは、「ない」による控えめさがnotではなくwouldによって表されるなどの例が確認された。今回の分析結果は、否定表現による対人配慮を行うコンテクストが日英語間で異なることを示唆するものと考える。
【参加費】会員:無料  非会員:1000円(学生500円)
【出席のご連絡・お問い合わせ】古川(furukawa@shoin.ac.jp)まで、12月20日までにお願いします。
なお、終了後に懇親会を予定しております、お気軽にご参加ください。なお、例会出席申込時に懇親会の出欠もあわせてお知らせください。