関西支部
第43回関西支部例会のお知らせ
■関西支部第43回例会を下記の通り開催いたします。
まだまだお席がございますので、関心がある方にお声掛けをしてくださいますよう、お願い申し上げます。
■日本通訳翻訳学会関西支部第43回例会
【日時】 2016年12月10日(土)15:00~17:30
【場所】 西宮市大学交流センター
(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階)
発表1
【タイトル】「通訳ワークショップ」授業実践報告
【発表者】山崎美保(神戸女学院大学・関西大学非常勤講師)
【要旨】関西地方のある私立大学において筆者が担当している「通訳ワークショップ」の授業について報告する。本授業は、K大学における「通訳翻訳プログラム」の履修者で、3年次において通訳プログラムの関連授業を履修済みの学生を主な対象に、英日・日英の実践的な通訳訓練を行うことを目的とした半期完結型の授業である。
本授業における訓練は、難度の高いものであったが授業後のアンケートを見るとそれをポジティブにとらえていて、毎回課される課題も積極的に取り組み、講師の説明を受け入れようとするlearnability(学習意欲)が感じられる。講師の体験談を聞けて良かったという声も多く、現場の人間だからこそ話せる実際の状況をクラスで伝えることで学生は現実感―自分の取り組んでいる課題は大学という枠内だけでなく、実際の仕事に通じている訓練なんだという実感―を持つことが出来るという事であろう。学生の全般的な通訳スキルの向上とともに第一回目の授業で見られた学生特有の言葉遣いや癖はほとんどといっていいほど見られなくなった。
本授業の中核となる「ピアスピーチ通訳演習」及び「ゲストスピーカー・セッション」について実際の状況を踏まえて今後に向けての改善点を洗い出し、更なる授業の質の向上につなげていきたいと思う。
発表2
【タイトル】「米国における通訳を介した警察の事情聴取の伝聞問題に関する『代理人かつ導管』理論の問題点と今後の指針」
【発表者】田村智子(早稲田大学大学院非常勤講師)
【要旨】通訳人を介した事情聴取における証言を伝聞としないための法理論は、コモン・ロー諸国が長年苦慮してきた課題である。米国では通訳人は警察と被疑者の共同代理人ゆえ被疑者による伝聞主張は不可とする1892年の判決が、代理法の雇用者責任の原理を援用した連邦証拠規則に基づく揺るぎない判例法として確立され、70年代からは導管論も併用した「通訳人は警察と被疑者の共同代理人かつ導管」たる主たる判例法となり最高裁においても未だ覆っていない。しかし両理論併用に根本的な矛盾があり、また代理法援用は合衆国憲法修正第5条に抵触する可能性が極めて高い。また仮に完全可視化が導入されたとしても、一言語しか解さない刑事と被疑者による通訳の正確性・中立性の間接的な把握には限界があり、裁判官及び陪審員にとってもtranscript とcheck translation無しに通訳が本当に「導管(正確かつ中立)」であったのかを検証するすべはない。以上の法理分析に加え本発表では、「質問と答えの噛み合い」、「原発話と訳出文の長さの差」、「通訳人と被疑者間の追加やり取りの多寡」等による通訳の正確性・中立性の間接的判断にはどの程度の限界があるか、を検証するために行った事情聴取の実録にもとづく量的分析の結果についても分析したい。
【参加費】会員:無料 非会員:1000円(学生500円)
【出席のご連絡・お問い合わせ】古川(furukawa@shoin.ac.jp)までお願いします。
なお、終了後懇親の会を予定しております。お気軽にご参加ください。