サイトラ研究プロジェクト
サイトラ研究プロジェクト公開研究会のお知らせ
■「サイトラ研究プロジェクト」公開研究会を下記の要領で開催いたします。関心のある方はぜひご参加ください。
日時:2016年3月20日(日)13:00~16:30
場所:神戸市外国語大学に隣接の大学共同利用施設UNITYセミナー室
神戸市西区学園西町1丁目
1-1 ユニバープラザ2F
(http://www.unity-kobe.jp/?page=access)
発表者1:船山仲他(神戸市外国語大学)
題目:サイトラにおける概念化のステップ
要旨:翻訳で顕在化するのは起点言語と目標言語の表現であるが、同時通訳やサイトラにおいては通翻訳者の脳内のプロセスの一端が顕在化する。その一つは各処理のタイミングである。たとえば、John hit a ball という表現を目にした段階で、訳者が「ジョンがボール」と言ったならば、その段階で訳者の頭の中でhitに関する情報はどうなっているのか。その直後に「ジョンがボールを」と言ったならば、hitを見た段階で、“他動詞”という文法概念を想起していると推定される。同時通訳の場合、John hit a ball という表現の音声はすぐに消えてしまう。サイトラの場合、hit を視野に残しておくことは可能であろう。しかし、だからといって hit という表現そのもの(つまり言語形式)のイメージを残しておくことは処理時間の延長につながる。それではどのような処理をすれば処理時間を短縮できるか。発表では、“概念化”というプロセスを仮定し、サイトラ訳者の概念化のステップについて考える。
“概念化”を観察することは、セレスコヴィッチの“脱言語化”をより実証的に捉えようとする試みでもある。
発表者2:水野 的(青山学院大学)
題目:順送りの訳・翻訳・訳読
要旨:日本ではサイト・トランスレーションが同時通訳の「順送りの訳」と同一視されることがある。順送りの訳を理論的に扱った研究はほとんどなく、また順送りの訳は通訳者にとっての認知的負荷を回避する方略とだけ考えられているふしがある。しかし、順送りの訳出手法は、英語の語順と逆行する伝統的な訳出方法への反措定として長い歴史があり、翻訳や訳読の方法としても理論的に検討する必要がある。本発表では、順送りの訳が情報構造(旧・新情報、主題-題述、前景と背景、インフラとIdea、結束性、Communicative Dynamism (CD)、情報の重要度と焦点など)と認知的負荷(通訳者[翻訳者]、読者[聞き手]、学習者にとって)の両面から、言語理論的・翻訳理論的に裏付けることができる訳出法であり、かつ言語教育における訳読にも応用可能な方法であることを論じる。
準備の都合上、ご出席いただける方は事前に下記までお申し込みください(3月10日必着)。
問い合わせ先:長沼美香子
mikakonaganuma@gmail.com