コミュニティ通訳分科会
コミュニティー通訳分科会(3月28日に解散)からのお知らせ
■以下の要領で、研究会を開催いたします。奮ってご参加ください。
日時:3月28日(日) 10:00~16:30
場所:愛知学院大学日進キャンパス3号館3509教室 (注意:いつも名古屋国際センターで行っていますが、今回は予約が全く取れず、中村幸子先生のご厚意で愛知学院大学の教室を使用させていただけることになりました。)
アクセス案内 http://www.aichi-gakuin.ac.jp/access2.html
キャンパス案内 http://www.aichi-gakuin.ac.jp/about/campus.html
正門から直進、ローターリーの右側を進み、図書館、本部棟の前を通り、左手に工事中の箇所を過ぎるとつきあたりが3号館1階です。入口をはいり、右手の丸善を通り過ぎると左手にエレベーターがありますので、5階へ。昼食は、学内の施設は日曜日なので開いていないかもしれません。事前に購入してきて下さい。学内にローソンがあります。自家用車での来校も可能です。
プログラム:
Ⅰ.午前の部(10:00~12:30)
■「通訳者の役割論」ワークショップ・発表
コミュニティ通訳分科会では、役割論の研究を新たなプロジェクトとして立ち上げました。今回はその第1回目として、立教大学の河原清志さんにリソースパーソンとして来ていただき、発表していただきます。河原さんからは、役割論を研究する上で重要だと思われる参考文献をたくさん紹介していただきます。役割論の研究プロジェクトに参加ご希望の方は、ぜひお越しください。
当日、詳細につきましては説明いたしますが、プロジェクトの概要は以下のように考えています。
参加者にはそれぞれの関心分野ごとにグループを作り、独自に研究を展開していただきます。分野は、医療、司法などのコミュニティー通訳に限らず、手話通訳、ビジネスや会議など、コミュニティー通訳以外でもかまいません。グループには、分科会費を分配し、資料代や会議費に使用できるようにします。大会にはパネルかワークショップのようなものをやりたいと思いますので、大会前の適切な時期に、それぞれの研究成果をシェア出来る機会を設ける予定です。必要な文献や先行研究に関する情報は、今後も河原さんから適宜提供していただきます。
<発表の概要>
発表者:河原清志(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程)
要旨:本発表は、コミュニティ通訳研究における「通訳者の役割論」研究の理論的基盤を提供することを目的とする。まず、「役割論」を議論する前提として、関連するこれまでの社会学、社会心理学、コミュニケーション理論、記号論、言語機能論などの系譜を概観し、それを通訳学の役割論に応用する可能性を示す。また、役割理論及びその下位概念(役割演技、役割期待、役割距離、役割取得、役割葛藤、自我論など)と規範論とを接合した上で、通訳者の役割論と規範論へと議論を展開したい。
さらに、通訳の諸形態における通訳者の役割論に関する主な先行研究をいくつか一緒に検討し(下記の課題論文を参照)、「通訳者の役割論」の研究手法なども含めて、今後の研究の新展開の途を一緒に探ってゆきたい。必要に応じて、翻訳者の役割論や規範論にも言及する。本発表はたたき台としての位置づけであり、参加される方々の積極的な発言によって、今後の研究の展開を期待したい。
なお、ワークショップに参加される際には、以下の論文を読んできて下さることをお勧めします。インターネットで入手できませんので、河原さんから論文を送っていただきます。ご希望の方は、以下のアドレスにメールしていただき。郵送先をお知らせください。
0137475501(a)jcom.home.ne.jp (河原清志)
◆通訳者の役割論一般
・Pöchhacker, F. (2008). Interpreting as mediation. In Valero-Garcés, C. and Martin, A. (eds.) (2008). Crossing borders in community interpreting: Definitions and dilemmas. (pp. 9-26). Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins.
◆医療通訳者の役割論
・Leanza, Y. (2007). Roles of community interpretiers in pediatrics as seen by interpreters, physicians and researchers. In Pöchhacker, F. and Shlesinger, M. (eds.) (2007). Healthcare interpreting. (pp. 11-34). Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins.
◆法廷通訳者の役割論
・Mikkelson, H. (2008). Evolving views of the court interpretiner’s role: Between Scylla and Charybdis. In Valero-Garcés, C. and Martin, A. (eds.) (2008). Crossing borders in community interpreting: Definitions and dilemmas. (pp. 81-98). Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins.
・Hale, S. (2008). Controversies over the role of the court interpreter. In Valero-Garcés, C. and Martin, A. (eds.) (2008). Crossing borders in community interpreting: Definitions and dilemmas. (pp. 99-122). Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins.
・Moeketsi, R. M. (2007). Intervention in court interpreting: South Africa. In Munday, J. (eds). (2007).Continuum studies in translation: Translation as intervention. (pp. 97-117). London/New York: Continuum International Publishing Group.
Ⅱ.午後の部(13:30~16:30)
■研究報告
午後の部では、現在進行中のコミュニティー通訳関連研究プロジェクト(科研など外部資金によるもの)の紹介と中間報告を行います。さらに、事例報告として発表が1つあります。
<研究報告1>
発表者:大野直子、木内貴弘(東京大学医学系研究科医療コミュニケーション学)
タイトル:「【中間報告】医療コミュニケーション・通訳理論に基づいた医療通訳教育方法の開発」
要旨:本研究の目的は、医療コミュニケーション・通訳理論に基づいた医療通訳養成システム構築である。本研究はファイザーヘルスリサーチ振興財団の平成22年度助成を受けている。研究方法として、まず医療通訳養成に効果のある要素を文献考察で明らかにし、養成システムのモデルを構築する。次に構築したモデルで学習者へ実験的介入を行い、調査結果を分析して教育方法の効果を検証する。昨年より開始した本研究の中間報告を行う。
<事例報告>
発表者:服部しのぶ
タイトル:「日本と世界の医療通訳制度」
要旨:2010年2月22日に京都で開かれた「文化とコンピューティング国際会議」で、多文化共生センターきょうとが、「医療の多言語支援」というセッションを開いた。そのセッションに参加して得た情報を、英国、米国、韓国の医療通訳の現状、育成などについてまとめて紹介する。そして、日本の現状と比較し、参考にできることや課題などを探り、今後の日本の医療通訳事情の進展にむけて提言したい。
<研究報告2>
発表者:中村幸子(愛知学院
大学)渡辺修(甲南大学法科大学院)水野真木子(金城学院大学)
タイトル:英語通訳付き模擬裁判と評議に関する考察 [中間報告]
要旨:発表者らが12月に行った英語通訳付き模擬法廷(覚せい剤密輸事件)およびその評議から、様々なデータが得られた。本発表では、法廷通訳をめぐる諸問題と、外国人事件という裁判の性質そのものが通訳問題と絡んだ時、裁判員の判断にどのような影響を与えうるのかについて、言語学者と法律家の立場から、それぞれ考察する。
なお、本研究は、日本学術振興会科学研究費補助を受けている。
1) 渡辺修 法律家の立場からの裁判員裁判と模擬法廷の通訳についての考察
2) 中村幸子 模擬裁判での裁判員の質問形式と通訳について
3) 水野真木子 通訳者の疲労について
参加費:会員は無料 非会員は1,000円
お問い合わせ:水野真木子(m-mizuno@kinjo-u.ac.jp)まで。